教育で明日をもっとBON!!ブログ

bonとはフランス語で「良い」という意味があります。元教師、現塾講師が教育で明日をもっとBON(良い)な日にするエッセンスを届けます!

たわいもない日常の先に

気持ちのいい日光の朝、電車に揺られ読書を楽しむ。あと1駅というところで隣に人形のイラストがプリントされた女性が1人。ちらりと見える横顔にはいくつもの放物線が描かれている。その女性はぐったりと前に倒れる。昨日の夜は酔い潰れたのだろうか?それとも今日の朝まで呑んでたのだろうか?この顔の放物線はなんだ?平穏だと思われた読書のひとときが一瞬で事件のかおりに包まれた。

 

電車を降りて、先ほどの女性とは別れた。久しぶりに電車に乗ったからだろう、僕の心は少し高揚していただけだったんだ。事件の香りなんてホントはないはずなのに、そう感じてしまった。いかんいかんと座席の端に腰掛けた。ふぅと一息をつき本を開く。すぅーっと吐息がかかる。そっと横を向くと外人の男の子の顔が真横にある。「おい!お前どけよ!!」そう言われているように感じた。その子はすぅーと僕の目の前に座り、ニタニタと笑いだす。平穏な日常に事件の香りが再び漂う。

 

電車を乗り換えた。この平穏な日常に少しずつ変化が訪れている。何かがおかしい。ざわざわと空気が音を立てているようだ。だか、もう大丈夫だろう。僕は座席に腰掛けた。となりに座ってきた男の子はずっと頭を抱えている。最初に見た女性より格段に深い。地面に着きそうだ。どうした!?少年!隣に座るお母さんはまるで人形のように微動だにしない。なにか変だ。平穏かと思われた僕の日常は、完全に事件の香りに包まれ、飲み込まれようとしている。

 

結局、そのあとはなにもなかった。

安全に1日の予定を終え、帰路に着く。

午前中のあの不穏な空気はなんだったんだろう?

いまだにその謎は解明されないままである。

そしてまた、電車に乗った。

電車には、軽快なリズムの話し声が飛び交う

きっとみんなお酒を飲んで気持ちよくなっているのだろう。僕もその1人である。ふわふわとした高揚感を感じている。今日はいい1日だったなぁ。そう思ったその時だった。

ん?なにか視線を感じるぞ?

いやいやおかしい。この時間の電車に乗っている人はスマホを見るか、停車駅まで酔って大きな声で話すか、疲れ果てて眠そうな顔をしているかの3択だ。

そんな視線なんか感じるわけはない。でも、鋭く見つめてくる。視線を後ろから感じる。決して振り返ってはいけない。そう伝えてくるような重たい空気が漂っている。頭が痛い。気付いたら頭を抱えている自分がいる。

おいおいやめてくれよ。ここにきて今日の1日の事件の歯車がまた回りだす。

僕は、決心してそっと後ろを見ようと試みる。

絶対に見てはいけない。そう問いかける重苦しい空気を無視して振り返る。

その視線の先には・・・

 

まだ僕の周りで密かに起こる事件のこれは序章なのかもしれない。

そっとその扉が叩かれた。