教育で明日をもっとBON!!ブログ

bonとはフランス語で「良い」という意味があります。元教師、現塾講師が教育で明日をもっとBON(良い)な日にするエッセンスを届けます!

【読書記録】生きる技法20 ~お金と自立~

前回のおさらい

【命題5】 貨幣とは、手軽に人と人とをつなぐ装置である(「生きる技法」 安富歩 青灯社 pp85)

貨幣は、瞬間的に私とあなたをつないでくれる装置なのです。(pp88)

貨幣の使用はいいことばかりではありません。(pp88)

 前回は貨幣とは、どんなものなのか?どういう時に必要なものなのか?貨幣を誰もが欲しがるのはなぜなのかについて学びました。本日は、どうして貨幣の使用はいいことばかりではないのかについて読み進めていきたいと思います。

 

前回の読書記録を読みたい方はこちらからどうぞ

bonsakubonbon.hatenablog.com

 

本日の読書記録と学び

【命題5-1】貨幣は信頼関係なしの交換を可能にする(「生きる技法」 安富歩 青灯社 pp88)

これにはいい面と悪い面での捉え方ができて、いい面は、前回出てきた信頼関係を築くきっかけになるということで、悪い面は信頼関係がなくても貨幣さえあれば生きていけるということです。信頼関係がなくても貨幣があればすべて解決できてしまうと解釈されてしまうということですね。貨幣を使うと物やサービスを手に入れることができます。そして物やサービスを与えることで貨幣を受け取った方は、その貨幣を使ってまた別の物やサービスを与えてもらうという循環ができあがります。

【命題5-2】貨幣を使うと、知らない間に、与えあっていることになる(pp90)

貨幣を使うことで、実は知らない間に与えあうことができていて、他者への依存が成立しているんですね。これは自立への第一歩です。以前の読書記録でも紹介させていただきましたが、

【命題1】自立とは依存することだ(pp23)

と安富氏は述べています。貨幣を利用することで「与えあうことができてよかった」と解釈するのか、それとも「貨幣を使えば与えあうことなんてしなくても、交換できるじゃん」と解釈するのかによって自立への道をたどっていけるのかは決まってきます。

【間違った命題5-1】貨幣さえあれば、信頼関係など不要である(pp91)

【間違った命題5-2】貨幣がなければ、信頼関係なんかあったって、駄目だ(pp91)

「貨幣はそもそも信頼関係の代替物に過ぎないので、信頼関係があったら、貨幣がなくともなんとかなります」(pp91)

貨幣の正しい使い方は、信頼関係を築いていくための装置として使っていくことであって、信頼関係を築いていくことをしないで生きていくための道具ではないということです。ということは金で解決するということは間違っているということもできるのかなと思います。もちろん友情はお金では買えないと思いますし、お金で買える友情は執着でしかなくて、そこは友だちという関係性とは言えないと思います。ただどうしてこのような間違った解釈が生まれてしまうのかということに対して、安富氏は本文の中で

貨幣についての誤った信念の根源は、「自立とは、他者への依存からの脱却である」という誤った信念にあります。そのために、

【間違った命題5-3】自立するとは、他人に依存しないことであり、他人に依存しないためには、お金を手に入れればよい

という風に考えてしまうのです(pp92)

と述べています。貨幣と自立というキーワードが結びついてきました。自分で稼ぐ力をつけていき、お金をたくさん持っている状態が必ずしも自立とは言えないみたいです。では、僕らはお金とどう向き合っていけばよいのかということについてはまた次回読み進めていきたいと思います。

 

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